秋田県の厳しい現状と希望の光
秋田県は、非常に残念なことに、がんによる10万人当たりの死亡率が28年連続で全国ワースト1位という厳しい現実を抱えています。この深刻な状況に対し、地域社会全体で健康寿命の延伸を目指す取り組みが喫緊の課題となっています。そんな中、一筋の希望の光が差し込みました。国立大学法人秋田大学と、医薬部外品や医療機器などを手掛けるジェクス株式会社が、2025年12月15日に「医療・口腔衛生および健康増進に関する包括的連携協力協定」を締結したのです。
この連携は、単に口腔ケア製品を開発するだけでなく、口腔環境の改善が全身の健康、特にがん対策にいかに重要であるかという、深い専門的知見に基づいています。今回は、この画期的な連携が秋田県民、ひいては全国の人々の健康寿命延伸にどのような可能性をもたらすのかを、皆さんと一緒に掘り下げていきましょう。

口腔環境が全身の健康に与える影響:なぜ見過ごせないのか
「お口の健康は体の健康のバロメーター」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。実は、口腔内は単に食べ物を咀嚼するだけの場所ではなく、全身の健康と密接に関わる「病気の入り口」とも言える重要な器官なのです。特に、口腔内の細菌バランスの乱れ、すなわち歯周病やむし歯などは、さまざまな全身疾患のリスクを高めることが、近年の研究で明らかになっています。
口腔内の炎症と全身への影響
口腔内の悪玉菌、特に歯周病菌は、歯ぐきに炎症を引き起こします。この炎症が長く続くと、炎症性サイトカインと呼ばれる物質が血液中に放出され、全身を巡ります。これにより、体のあらゆる場所で慢性的な炎症が引き起こされ、以下のような疾患のリスクを高めることが指摘されています。
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心臓病・脳卒中: 歯周病菌や炎症性サイトカインが血管に入り込み、動脈硬化を促進したり、血栓の形成に関与したりする可能性があります。心筋梗塞や脳梗塞といった重篤な病気のリスクが高まることが示唆されています。
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糖尿病: 歯周病は糖尿病の合併症の一つとされ、また糖尿病を悪化させる要因にもなります。血糖コントロールが難しい糖尿病患者さんは、歯周病も進行しやすい傾向にあり、相互に悪影響を与え合う「双方向性」の関係が知られています。
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誤嚥性肺炎: 高齢者にとって特に注意が必要なのが誤嚥性肺炎です。口腔内の細菌が唾液や食べ物と一緒に誤って気管に入り込むことで発症します。口腔内の衛生状態が悪いと、肺炎を引き起こす細菌が増殖しやすくなるため、リスクが高まります。
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アルツハイマー病: 最近では、歯周病菌がアルツハイマー病の発症や進行に関与している可能性を示唆する研究も出てきています。歯周病菌が脳内で検出された例もあり、今後の研究が待たれます。
口腔環境とがんの意外な関係
そして、今回の秋田県の課題とも深く関わるのが「がん」です。口腔内の環境が、特定のがんの発症や進行に影響を与える可能性が指摘されています。
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食道がん: プレスリリースでも触れられているように、秋田大学とジェクスは「乳酸菌入りハミガキジェルおよびマウスウォッシュによる口腔内環境改善と食道癌術後肺炎発生率に関する研究」に取り組んでいます。口腔内の悪玉菌が食道に到達し、慢性的な炎症を引き起こすことで、食道がんのリスクを高める可能性が考えられます。また、食道がんの手術後に口腔内の衛生状態が悪いと、肺炎などの合併症のリスクも高まります。
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口腔がん: 直接的に口腔内に発生するがんです。喫煙や飲酒が主なリスク要因ですが、口腔内の不衛生な状態もがん化を促進する要因となり得ます。
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大腸がん: 特定の口腔細菌、特にフソバクテリウム・ヌクレアタムという菌が、大腸がんの組織から高頻度で検出されることが報告されています。この菌が大腸がんの進行を促進するメカニズムについても研究が進められており、口腔内の細菌が大腸に影響を与える可能性が示唆されています。
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膵臓がん: 一部の研究では、特定の口腔細菌の存在が膵臓がんのリスクと関連するとされています。口腔内の細菌が血流に乗って膵臓に到達し、炎症や免疫応答に影響を与える可能性が考えられます。
このように、口腔内の健康は、単にお口の中だけの問題ではなく、全身のさまざまな病気、特にがんという深刻な病気にも影響を及ぼす可能性があるのです。だからこそ、口腔環境の改善は、健康寿命を延伸するための重要な鍵となるわけですね。
秋田大学とジェクス株式会社、健康寿命延伸への強力なタッグ
秋田県のがん死亡率ワースト1位という現状を受け、秋田大学は2025年9月に秋田県との医療分野における連携協定を締結しました。この協定の第2項「秋田県民の健康寿命の延伸に関すること」に対し、秋田大学とジェクス株式会社が協働することになったのが、今回の連携協定です。
連携協定の目的と具体的な活動
この連携協定は、秋田大学が持つ学術的知見と臨床研究能力、そしてジェクスが持つ乳酸菌等を活用した製品開発・製造技術を相互に活用することを目的としています。具体的には、以下の5つの分野で協力し、地域社会の健康課題解決と医療水準の向上を目指します。
- 口腔内環境の改善と全身疾患予防に関する研究・教育活動
- 乳酸菌代謝物を活用したオーラルケア製品に関する臨床研究及び社会実装
- 医療・公衆衛生分野における人材育成、研修、啓発活動
- 秋田県をはじめとする地域住民の健康意識向上及び生活習慣改善への取組
- その他、相互に協力可能な分野における事業
この連携協定は、学術機関と企業がそれぞれの強みを持ち寄り、地域社会の具体的な健康課題に立ち向かう、まさに理想的な形と言えるでしょう。特に、医療・口腔衛生分野における共同研究や社会実装を通じて、県民の皆さんの健康寿命延伸に貢献することが期待されています。
L8020乳酸菌の力:口腔内から全身の健康を守る
今回の連携協定において、特に注目されるのが「L8020乳酸菌」です。ジェクス株式会社は、2023年6月より秋田大学大学院医学系研究科 胸部外科学講座 食道外科の佐藤雄亮講師とともに、L8020乳酸菌を活用した研究に取り組んできました。
L8020乳酸菌とは?
L8020乳酸菌は、広島大学 歯学部の二川浩樹教授によって発見された、ヒト由来の乳酸菌です。正式名称は「ラクトバチルスラムノーザスKO3株」と言います。この乳酸菌の最大の特徴は、むし歯になったことがない健康な人の口の中から発見されたという点です。つまり、もともと健康な口腔環境に存在する、非常に良い働きをする菌なのですね。
L8020乳酸菌は、「善玉菌を残し、悪玉菌を除去する」という独自のメカニズムで、むし歯菌や歯周病菌に強い効果を発揮します。この「L8020」という名前には、「満80歳で自分の歯を20本以上保ってほしい」という願いが込められているんですよ。まさに、健康寿命延伸の象徴のような乳酸菌と言えるでしょう。
研究で示された驚きの効果
これまでの研究では、L8020乳酸菌に以下のような成果が確認されています。
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食道扁平上皮癌細胞の増殖抑制: 食道がんとの関連が指摘される中、L8020乳酸菌が食道扁平上皮癌細胞の増殖を抑制する効果が確認されたことは、がん対策において非常に重要な発見です。口腔内の悪玉菌が食道がんのリスクを高める可能性があることを考えると、口腔環境をL8020乳酸菌で整えることが、予防の一助となるかもしれません。
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ジンジバリス菌の減少: ジンジバリス菌は歯周病菌の代表格であり、口腔内の環境悪化の主要な原因の一つです。また、全身疾患の助長因子にもなると言われています。L8020乳酸菌がこのジンジバリス菌を減少させる効果があることが分かっています。これにより、歯周病の予防・改善だけでなく、全身の健康リスク低減にもつながる可能性があります。
乳酸菌は、抗菌物質の産生、口腔内のpHバランスの調整、免疫応答の調節など、さまざまなメカニズムを通じて口腔環境を健康に保つ働きをします。L8020乳酸菌も、これらの働きによって、口腔内の善玉菌と悪玉菌のバランスを整え、健康な状態を維持してくれるプロバイオティクスとしての役割を果たすと考えられます。
L8020乳酸菌についてもっと詳しく知りたい方は、以下の公式サイトをご覧ください。
秋田県民の未来へ:具体的な取り組みと期待
今回の連携協定は、秋田県が推進するがん対策において、口腔環境という新たな視点からアプローチする画期的な試みです。秋田大学とジェクスは協働し、秋田県民の皆さんの口腔環境の改善から健康寿命延伸をサポートする具体的な活動を段階的に実施していく予定です。
今後の具体的な活動
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リーフレットの配布: 口腔ケアの重要性やL8020乳酸菌の働きについて、分かりやすくまとめたリーフレットが配布されるでしょう。これにより、県民の皆さんが気軽に正しい知識を得られるようになります。
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講演会の実施: 専門家による講演会が開催され、口腔ケアと全身の健康、がん予防との関連について深く学ぶ機会が提供されます。質問の時間も設けられ、日頃の疑問を解消できる場となるはずです。
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県民を対象としたモニター調査: L8020乳酸菌関連製品の効果を検証するためのモニター調査も実施される予定です。これにより、実際の県民の皆さんの口腔環境改善にどれだけ貢献できるかが明らかになるでしょう。
秋田県は全国的に見ても高齢化が進んでおり、生活習慣病の罹患率も高い傾向にあると言われています。このような背景の中で、口腔ケアという比較的取り組みやすい予防策を通じて、県民全体の健康意識を向上させ、生活習慣の改善を促すことは、非常に大きな意味を持ちます。口腔環境の改善は、食生活の質の向上にもつながり、ひいては全身の栄養状態の改善にも寄与するでしょう。
健康寿命を延ばすことの意義:個人と社会のために
健康寿命とは、WHO(世界保健機関)が提唱する「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」のことです。単に長生きするだけでなく、元気で自立した生活を送れる期間を長くすることが、個人にとっても社会にとっても非常に重要であるとされています。
個人のQOL向上と社会への貢献
健康寿命が延びることは、私たち一人ひとりの生活の質(QOL)を向上させます。好きなことを自由に楽しんだり、家族や友人と充実した時間を過ごしたり、社会活動に参加したりと、人生を豊かにする機会が増えるでしょう。また、医療費や介護費の増加は社会保障制度にとって大きな課題ですが、健康寿命が延びることで、これらの負担を軽減し、社会全体の持続可能性に貢献することも期待されます。
予防医療とセルフケアの重要性
健康寿命を延ばすためには、病気になってから治療するのではなく、病気を未然に防ぐ「予防医療」の考え方が不可欠です。そして、その予防医療の中心となるのが、私たち自身が行う「セルフケア」です。日々の食生活、運動習慣、睡眠、そして今回のテーマである口腔ケアなど、日常生活の中で意識的に健康を維持する努力が、未来の自分と社会を支えることにつながります。
口腔ケアは、その中でも比較的簡単で、しかし非常に大きな効果が期待できるセルフケアの一つです。毎日の歯磨きやフロス、そしてL8020乳酸菌のような善玉菌を取り入れることで、口腔内の健康を保ち、それが全身の健康、ひいては健康寿命の延伸に繋がるというサイクルを築くことができるでしょう。秋田大学とジェクスの連携は、この重要なメッセージを秋田県民に届け、具体的な行動を促す素晴らしい一歩となるに違いありません。
まとめ:希望に満ちた未来へ向かって
秋田県が抱えるがん死亡率の課題に対し、秋田大学とジェクス株式会社が口腔環境の改善という新たなアプローチで連携協定を締結したことは、地域社会の健康課題解決に向けた大きな一歩です。L8020乳酸菌の研究成果を基盤とし、口腔環境と全身の健康、特にはがんとの密接な関連性に光を当てることで、県民の皆さんの健康意識を高め、具体的な行動へと繋がることが期待されます。
この取り組みが成功すれば、秋田県は「がん死亡率ワースト1位」という不名誉な記録を返上し、誰もが健康で笑顔で暮らせる地域へと変貌を遂げるかもしれません。そして、その成功事例は、きっと全国の他の地域にも希望を与え、日本の健康寿命延伸に大きく貢献することでしょう。お口の健康が、未来の私たち自身の健康、そして社会の健康を支える大切な要素であることを、改めて心に留めておきたいですね。
ジェクス株式会社について
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社名: ジェクス株式会社
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設立: 昭和35年12月7日
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資本金: 3億円
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代表者: 代表取締役社長 梶川 裕次郎、代表取締役副社長 辻 匡哉
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事業内容: 医薬部外品・医療機器・化粧品・育児用品・生活関連用品等の製造販売
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所在地: 〒540-0012 大阪市中央区谷町2丁目3番12号マルイト谷町ビル11階



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