- はじめに:インバウンド消費の新たな潮流
- Paykeデータが捉えた!2025年11月、訪日客の関心を集めた「課題解決型」商品たち
- 【深掘り分析1】タイの健康志向に響く「サントリー 特水」
- 【深掘り分析2】欧米の悩みに寄り添う「ヒロインメイク スピーディーマスカラリムーバー」
- 【深掘り分析3】美髪への探求心に応える「fino プレミアムタッチ 濃厚美容液ヘアマスク」
- 【深掘り分析4】タイの食文化と親和性抜群!「ブレスケア カプセル」
- 【深掘り分析5】台湾の健康意識を捉えた「UHAグミサプリ 鉄&葉酸」
- なぜ今、「課題解決型消費」が注目されるのか?
- 国内マーケティングがインバウンドに与える影響
- Paykeが描く未来:言語の壁を越え、日本の価値を世界へ
- まとめ:インバウンド消費の進化と、私たちにできること
はじめに:インバウンド消費の新たな潮流
近年、日本を訪れる外国人観光客(訪日客)の消費行動に、興味深い変化の兆しが見られます。これまでは「モノ消費」としてのお土産購入や、観光地での「コト消費」が主な目的とされてきましたが、どうやらそれだけではないようです。株式会社Payke(ペイク)が2025年11月に実施した動態データ分析からは、訪日客が自身の健康や美容、日常生活における「課題解決」を目的とした商品に、強い関心を示している可能性が浮かび上がってきました。
これは、単に「日本で人気だから買う」という受動的な消費から、「自分の悩みを解決してくれる日本の商品を探す」という、より能動的でパーソナルな消費へとシフトしていることを示唆しています。日本の商品が持つ高い機能性や品質、そして国内での話題性が、どのようにして訪日客の具体的なニーズと結びついているのでしょうか。今回は、Paykeの分析データをもとに、この新しいインバウンド消費の潮流と、その背景にある深層心理を探っていきましょう。

Paykeデータが捉えた!2025年11月、訪日客の関心を集めた「課題解決型」商品たち
Paykeアプリおよび提携アプリから収集された2025年11月期の訪日外国人による製品スキャンデータを分析した結果、前月比(MoM)でスキャン率が大きく上昇している特定の商品が確認されました。特に注目すべきは、国籍ごとに異なるカテゴリの商品に関心が集中している点です。これは、各国の文化や生活習慣、そして個々の健康・美容意識が、日本の商品選びに深く影響していることを示しています。
2025年11月 スキャン急上昇ランキング(抜粋)
| 順位 | 商品名 | メーカー | 国籍 | 前月比(MoM) |
|---|---|---|---|---|
| 1 | サントリー 特水 600ml | サントリー | タイ | 約6.4倍 |
| 2 | ヒロインメイク スピーディーマスカラリムーバー | 伊勢半 | 米国 | 約2.9倍 |
| 3 | fino プレミアムタッチ 濃厚美容液ヘアマスク | ファイントゥデイ | 韓国 | 約2.6倍 |
| 4 | ブレスケア カプセル | 小林製薬 | タイ | 最大約2.2倍 |
| 5 | UHAグミサプリ 鉄&葉酸 | UHA味覚糖 | 台湾 | 約2.1倍 |
このランキングから見えてくるのは、訪日客が単に「有名だから」「流行っているから」という理由だけで商品を選んでいるわけではない、ということです。それぞれの商品の背後には、彼らが抱える具体的な悩みや、解決したい課題が存在していることがうかがえます。では、これらの商品がなぜ、特定の国籍の訪日客に響いたのか、その深層を一つずつ探っていきましょう。
【深掘り分析1】タイの健康志向に響く「サントリー 特水」
タイ国籍のユーザーによる「サントリー 特水 600ml」のスキャン数が、前月比で約6.4倍と著しい伸びを見せました。この商品は2025年10月21日に発売されたばかりの新商品であり、発売直後の話題性がスキャン数の増加に寄与した側面ももちろんあるでしょう。しかし、それ以上に注目すべきは、タイの人々がこの商品の「機能性コンセプト」に強い関心を示した可能性です。
タイでは近年、健康志向が非常に高まっています。屋台文化が盛んで、甘い飲み物や揚げ物など、高カロリーな食事が日常に溶け込んでいる一方で、生活習慣病への意識も高まり、健康への投資を惜しまない人が増えています。特に、体型や健康維持に対する関心は強く、脂肪対策や糖質オフといったキーワードに敏感に反応する傾向があります。
「特水」が持つ「透明な水でありながら脂肪対策を意識した設計」というコンセプトは、まさにタイの健康志向の高い旅行者の心を掴んだのかもしれません。水は日常的に摂取するものだからこそ、その機能性に価値を見出すのでしょう。日本国内での大規模なプロモーションに加え、タイ現地でも「日本で話題の新商品」として紹介されたことが、訪日時の「チェックすべき商品」として認識され、スキャン行動につながったと推測されます。
日本の特定保健用食品(トクホ)や機能性表示食品は、科学的根拠に基づいた効果・効能が明確に表示されているため、海外からの信頼も厚いです。特に、健康意識の高い国々では、こうした「エビデンス」が重視される傾向にあります。「特水」も、その機能性が明示されていることで、タイの消費者にとって信頼できる「課題解決」の選択肢として映ったのではないでしょうか。
【深掘り分析2】欧米の悩みに寄り添う「ヒロインメイク スピーディーマスカラリムーバー」
米国籍のユーザーの間で「ヒロインメイク スピーディーマスカラリムーバー」が約2.9倍の伸びを記録しました。この製品は、日本のコスメアワード「@cosme」などで高い評価を得ており、国内での認知度は非常に高いです。海外でも、日本発の高機能なアイメイク関連製品として、以前から関心を集めていました。
欧米圏のメイクアップ文化では、目を大きく見せるためのマスカラは欠かせないアイテムです。しかし、「日本のマスカラは、カールキープ力が高く、汗や水にも強いウォータープルーフ性能が非常に優れている一方で、メイクオフが難しい」という声が聞かれることがあります。これは、日本のマスカラが持つ優秀さの裏返しでもありますが、同時に「落としにくい」という課題を抱えていることを意味します。
ヒロインメイクのマスカラは、まさにその「落ちにくさ」で定評がありますが、専用のリムーバーを使うことで、まつ毛に負担をかけずに素早くメイクオフできる点が、米国籍のユーザーにとって魅力的に映ったのでしょう。これは、彼らが抱える「日本の優秀なマスカラを使いたいけれど、オフが大変」という具体的な悩みに、このリムーバーが直接的に応える「課題解決」の選択肢として認識された結果と考えられます。
さらに、米国向けにはTikTok Shopを含む販売チャネルが用意されており、SNSを起点とした情報収集が容易になっていることも、スキャン数増加の一因でしょう。TikTokのようなプラットフォームでは、ユーザーが実際に商品を試す様子や、その効果をリアルに伝える動画が人気を集めます。こうした情報が拡散されることで、購入検討時の情報収集の一環として、Paykeアプリでのスキャン行動につながった可能性が高いです。
【深掘り分析3】美髪への探求心に応える「fino プレミアムタッチ 濃厚美容液ヘアマスク」
韓国籍のユーザーの間で「fino プレミアムタッチ 濃厚美容液ヘアマスク」が約2.6倍にスキャン数を伸ばしました。韓国は「美容大国」として知られ、スキンケアだけでなく、ヘアケアに対する意識も非常に高い国です。健康的で美しい髪は、自己管理の象徴として重要視されており、高品質なヘアケア製品への投資を惜しまない傾向があります。
「fino プレミアムタッチ 濃厚美容液ヘアマスク」は、その名の通り「美容液」成分をたっぷり含んだヘアマスクであり、髪のダメージ補修や保湿に特化しています。日本のヘアケア製品は、その品質の高さとコストパフォーマンスの良さから、韓国でも長年人気を博してきました。特に、乾燥やカラーリングによるダメージに悩む人々にとって、この「濃厚美容液」というコンセプトは、まさに「髪の悩みを解決してくれる」という期待感を抱かせます。
韓国の消費者は、製品の成分や効果に対して非常に知識が豊富で、口コミやレビューを重視する傾向があります。日本の美容系インフルエンサーやYouTuberが紹介する製品情報も、国境を越えて参考にされることが多いです。このヘアマスクが持つ高い補修効果や、使用後の髪の指通りの良さといった具体的なメリットが、SNSやオンラインコミュニティを通じて韓国のユーザーに伝わり、訪日時の購入候補としてリストアップされたのかもしれません。
美しい髪への探求心が強い韓国の消費者にとって、日本の技術が詰まった「美容液ヘアマスク」は、まさに理想的な「課題解決型商品」と言えるでしょう。日々のヘアケアにこだわりを持つ彼らにとって、この製品は単なるトリートメントではなく、美髪への投資としての価値を持っていると推測されます。
【深掘り分析4】タイの食文化と親和性抜群!「ブレスケア カプセル」
タイ国籍のユーザーによる「ブレスケア カプセル」のスキャン数が、前月比で最大約2.2倍となりました。この商品は、日本のドラッグストアや免税店でも定番商品として広く知られており、訪日客にもその認知が広がっています。
この商品の人気上昇の背景には、タイの食文化と、それに根ざした口臭ケア意識が深く関わっていると推測されます。タイ料理は、ハーブやスパイス、ニンニクなどを多用することで知られています。これらの食材は料理に深みと風味を与えますが、一方で食後の口臭が気になることも少なくありません。そのため、タイの人々の間では、口の中をリフレッシュする習慣が広く浸透しています。
特にタイでは、「ヤードム」と呼ばれるハーブ吸入器が日常的に利用されています。メントールやユーカリなどの清涼感のある香りを吸い込むことで、気分をリフレッシュしたり、鼻詰まりを解消したりする目的で使われます。このような「香りによるリフレッシュ文化」が根付いているタイの人々にとって、「息をすっきりさせる」というブレスケアの価値は、非常に親和性が高いと言えるでしょう。
韓国のSNS上で「ニンニク料理の後のエチケットアイテム」として紹介されるなど、アジア圏での情報拡散も、タイのユーザーがこの商品に注目するきっかけになった可能性があります。美味しい食事を楽しんだ後も、周囲に配慮したいというエチケット意識は、国境を越えて共通するものです。ブレスケアカプセルは、タイの食文化とエチケット意識、そして既存のリフレッシュ習慣に見事にフィットする「課題解決型商品」として、訪日客の心に響いたのかもしれません。
【深掘り分析5】台湾の健康意識を捉えた「UHAグミサプリ 鉄&葉酸」
台湾籍のユーザーを中心に「UHAグミサプリ 鉄&葉酸」が約2.1倍に伸長しました。この商品は、以前から台湾のECサイトやSNSで「超夯(超人気)」と紹介されるなど、お土産の定番として定評がありました。台湾では、美容と健康への意識が非常に高く、サプリメントや健康食品に対する関心も日本と同様に根強いものがあります。
特に「鉄&葉酸」は、女性の健康維持に不可欠な栄養素であり、貧血対策や妊娠中の栄養補給といった具体的な課題解決に直結します。手軽に摂取できる「グミサプリ」という形態も、多忙な現代人にとって魅力的です。日本のサプリメントは、その品質の高さや安全性、そして摂取しやすさから、台湾の消費者から高い信頼を得ています。
この既存の人気に加え、日本国内で2025年6月に実施された、アーティスト・こっちのけんと氏を起用したエンタメ性の高いキャンペーンが、ブランドの話題性をさらに高めました。こうした国内での話題が、SNSなどを通じて間接的に台湾にも伝わり、訪日時の「チェックすべき商品」として再注目された可能性があります。台湾の消費者は、日本のトレンド情報にも敏感であり、国内で「バズっている」商品には特に注目する傾向があります。
台湾での既存の人気という土壌に、日本国内での話題が加わることで、「UHAグミサプリ 鉄&葉酸」は単なるお土産品を超え、台湾の人々が抱える健康課題に寄り添う「課題解決型商品」として、その価値を再認識されたと言えるでしょう。手軽に美味しく栄養補給ができるという利便性と、日本製品への信頼が相まって、スキャン数の増加につながったと推測されます。
なぜ今、「課題解決型消費」が注目されるのか?
今回のPaykeのデータから見えてきた「課題解決型消費」の台頭は、訪日客の情報収集方法の変化と密接に関わっています。かつてはガイドブックやツアー会社からの情報が主でしたが、今はSNS(Instagram、TikTok、YouTubeなど)や個人ブログ、口コミサイトを通じて、リアルでパーソナルな情報にアクセスできるようになりました。
これにより、訪日客は「みんなが買っているもの」だけでなく、「自分の悩みを解決してくれるもの」をピンポイントで探し出すことが可能になりました。例えば、SNSで「日本のマスカラは優秀だけど落としにくい」という情報を見た人が、その解決策として「日本のリムーバー」を探す、といった具体的な行動につながるのです。
また、日本の商品は、その高い品質、革新的な機能性、そして安全性が世界的に高く評価されています。特に、健康や美容といったデリケートな分野では、信頼できる製品を選ぶ傾向が強まります。訪日客は、日本滞在中に「体験」だけでなく、自国に持ち帰って「実生活の質を向上させる」ための製品を探していると言えるでしょう。
この背景には、旅行の目的が多様化し、よりパーソナルなニーズに応えるものを求める傾向があると考えられます。単なる観光や買い物に留まらず、自分の健康や美容、ライフスタイルをより豊かにするための「投資」として、日本の商品を選んでいるのかもしれません。日本のメーカーが長年培ってきた技術力と、消費者のニーズを捉える力が、今、国境を越えて評価されているのです。
国内マーケティングがインバウンドに与える影響
今回のデータは、メーカーによる国内向けのマーケティング施策が、訪日外国人の関心にも間接的に影響を与えている可能性を示唆しています。具体的には、以下のような国内施策が海外に波及する経路が考えられます。
- アワード受賞・メディア掲載:@cosmeのような権威あるアワードでの受賞や、国内の美容誌、情報番組での紹介は、製品の品質や効果を裏付ける強力な証拠となります。これらの情報は、翻訳されたり、海外のインフルエンサーによって紹介されたりすることで、海外の消費者の信頼獲得につながります。
- 話題のキャンペーン・プロモーション:アーティスト起用やユニークなコンセプトのキャンペーンは、SNSを通じて瞬く間に拡散されます。「日本で今、これが話題!」という情報は、海外の消費者にとって「訪日時にチェックすべきもの」という強い動機付けになります。
- 大型交通広告・店頭プロモーション:日本の主要駅や繁華街に掲示される大型広告や、ドラッグストアでの大々的なプロモーションは、訪日客の目にも留まります。言語が分からなくても、商品のビジュアルや雰囲気から「人気商品である」と認識し、興味を持つきっかけとなるでしょう。
特に新商品においては、発売直後の「話題」が、来店時のスキャン行動として表出する傾向が一部で見られました。これは、日本のトレンド情報が、現地メディアやSNSを通じてリアルタイムに海外に伝わり、訪日客の購買意欲を刺激していることを物語っています。越境ECサイトでの情報発信や、海外のインフルエンサーとの連携も、この波及効果をさらに高める要因となります。
このように、国内向けのマーケティング活動が、意図せずして「インバウンドマーケティング」としての役割を果たしているケースが増えているのです。日本のメーカーは、国内市場だけでなく、海外市場への影響力も意識した情報発信の重要性を再認識する必要があるでしょう。
Paykeが描く未来:言語の壁を越え、日本の価値を世界へ
Paykeは、訪日外国人向けバーコードスキャンアプリ「Payke」を通じて、日本の商品の「機能的価値」と「話題性」を世界中の消費者に正しく届けるインフラとしての役割を担っています。約75万点の商品データを7言語で保有し、訪日客が手に取る商品の約90%をカバーしている実績は、その強みを示しています。
今回の分析は単月の動向を捉えたものですが、Paykeでは日次レベルでスキャンデータを取得しており、こうした訪日客の関心の変化や動態の兆しを、従来の調査手法に比べて早期に捉えられる点が特長です。このリアルタイムなデータは、インバウンドマーケティングを考える上で非常に価値のある示唆を提供します。
言語の壁を取り払い、商品の詳細な情報や使用方法、成分などを多言語で提供することで、訪日客は安心して商品を選ぶことができます。これは、彼らが抱える「情報不足」という課題を解決し、日本の商品の真の価値を理解する手助けとなります。Paykeは、今後もこのようなデータ蓄積と分析を通じて、インバウンド市場の活性化に貢献していくことでしょう。
例えば、Paykeが提供する「Payke訪日外国人まるみえくん」のようなサービスは、訪日客の興味・関心を可視化し、企業がより効果的なインバウンド戦略を立案するための強力なツールとなります。訪日客のニーズは常に変化しており、その変化の兆しをいち早く捉え、柔軟に対応していくことが、これからのインバウンド市場で成功するための鍵となるでしょう。
Paykeの活動は、単に商品を売る手助けをするだけでなく、日本の優れた製品が世界中で正しく評価され、より多くの人々の「課題解決」に貢献する未来を築くための重要な一歩と言えます。
関連リンク
- Payke コーポレートサイト: https://payke.co.jp/
まとめ:インバウンド消費の進化と、私たちにできること
今回のPaykeのデータ分析は、訪日外国人の消費行動が、単なる「お土産購入」から、自身の健康や美容、生活の質を高めるための「課題解決型消費」へと質的に変化している可能性を示唆しました。日本の優れた商品が持つ機能性や品質、そして国内で生み出される話題性が、国境を越えて訪日客の具体的なニーズと結びついていることが明らかになりました。
この変化は、日本のメーカーや小売店にとって、新たなビジネスチャンスを意味します。訪日客の多様なニーズを深く理解し、それに応える商品の開発や情報提供を行うことが、今後ますます重要になるでしょう。SNSを通じた情報発信や、多言語でのきめ細やかなサポートは、訪日客の「知りたい」という気持ちに応え、より良い購買体験を提供するために不可欠です。
インバウンド市場は、単なる経済効果だけでなく、日本の文化や技術、そして「おもてなし」の精神を世界に伝える貴重な機会でもあります。訪日客一人ひとりの「課題解決」に寄り添い、彼らの旅がより豊かで実り多いものになるよう、私たち一人ひとりができることを考え、行動していくことが求められているのではないでしょうか。日本の魅力が、さらに深く、広く世界に届く未来を期待しましょう。



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